キャリパーサポートの作成

Z750FX-ⅢにNISSINのキャリパーを付けるためにキャリパーサポートを作成する。

詳細は「Z750FX-Ⅲのローター変更計画」に記載するが、ザックリ言うとノーマルのディスクローター260φから320φに変更するにあたり、NISSINのキャリパーを買ったから。

型取り

画像は借りてきたbrembo(ブレンボ)用のキャリパーサポート(ワンオフ)。

NISSINのキャリパーとはボルト位置と径が異なるが、上側のボルト穴は良さそう位置なので、この形をベースにして下側の穴位置決め、厚紙(工作用紙)を使って大まかな型を取る。
厚紙の型から、CADソフトで詳細なデータを作成。
昔、高校時代に製図を習ったんだけど書き方忘れたのでだいたいの雰囲気で・・・

ちなみに上が右、下を左にしたつもりが、左右反転を忘れていたようで、両方右になっていた。
まあ自分で削るので、問題ないかなぁ。

キャリパーサポートの加工①

キャリパーサポートの材質は通常アルミ2017材を使用するとのことだが、オフセットが激し物を自作するってことでより強度のある7075材を使用。
用意したサイズは200mm×200mm×35mm。価格は約2万円。(高い!)

最終的に使用したのは3/4で、1つ目を失敗(5052材などの安いアルミで試作した方が良い)、確実に必要なサイズは200mm×100mm。
ちなみにキャリパーがbrembo(ブレンボ)だとネジ位置の関係でもっと小さくて済む。

1個目作成時にはまだバンドソーが無かったため金鋸で切ろうとして全然切れずに断念。フライス盤で両面から溝を掘って切断した。
何時間かかったことか・・・。バンドソー買おっと。
画像は切断後の断面。
バンドソーでの切断面全てを切削し、正長方形に加工する。
これをしないとフライスのバイスでうまく咥えられなかったり、正確な加工ができない。
フォーク側の切削。
ブレーキローターとのクリアランスがあまりないため10mm厚になるまでひたすら削る。

荒削りが終わったらスローアウェイで面をきれいにする。
上下を斜め切削。

1個目の場合:
部材を削っている画像が無かったので、アングルバイスの画像。
これで上下どちらかを指定角度で削り、反対側は同じ角度に設計しているので普通のバイスで削る。

2個目以降:
バンドソーで片側を切り落とした場合は、切り落とした方の面をきれいに切削する。反対側をバンドソーで切り落とし、普通のバイスでバンドソーで切り落とした面をきれいに切削する。
バンドソーをコンタマシン化し、キャリパー側のネジ間のVの字を切断する。
キャリパー側の切削。

荒削りが終わったらスローアウェイフライカッターで面をきれいにする。

※1個目は設計が悪く、ここで削りすぎてしまった。

キャリパー側は8mmのボルトが通るので8.3mmの穴、フォーク側は10mmのボルトが入るので8.5mmで穴を開け、タップで10mmのネジ(細目)を切った。

ちなみに細目(1.25ピッチ)のネジにしたのはノーマルが細目だったのと、厚さが10mm程しかないため、溝をより多くしたかったため。
しかし、ノーマルのボルトでは長すぎて使用できず、購入したのだが、普通のボルトより倍以上の価格であった。

1個目の仮止め

1個目を仮付けしてみると、うまくいったように見えるが・・・。
若干余裕を残したつもりがキャリパー側を削り過ぎていた。(加工のミスではなく設計図のミス)
このキャリバーはローターが通る部分の幅が約10mm程度で、ローターが入ると左右2mm~3mm程度の余裕しかない。
キャリバーとサポートの間に2mm程度のアルミ板を入れて何とかキャリバーとローターが当たらないくらいであった。

安いアルミで試作すればよかったと後悔。
パットの位置も若干上で、パットが当たりきらない。
これでは、ぱっとが減った時に当たらない部分が残って、ブレーキが利かなくなってしまう。
その為、穴位置を斜め下に2mm移動させる必要がある。

キャリパーサポートの加工②

試作だったとあきらめて設計図を修正し、2個目作成。
基本的な作成手順は同じ。

1個目作成時にはまだなかったバンドソーで切りだし。余分な部分は極力カットする。(斜めは片方のみ切断)
7075材は硬く、切断にかかる時間は、幅100mmで厚さ35mmだと1時間以上。ただし、このバンドソーなら自重切断が出来るのでほっとけばいい。
切削は1個目と同じようにやったので詳細なし。

キャリパー側の切削は仕上げは後回しにして、何度か取り付けして厚みを微調整しながら削る。
ローターにパット全面が当たる良い位置。
キャリパー側の切削は斜めが多く、横、縦でしかきれいに削れないため、切削面が横一直線になるようにクランプを使って固定し、仕上げの切削を行う。

サイドの切削はフライス盤にかなり負荷がかかるようで、ガッコっと部材に歯が噛んでしまいロー側のギアが破損!
サイドの歯の良いエンドミルを使用し、少しずつ削る事が重要だ。十分注意していたのだが・・・
バイスやクランプで固定時に表面に傷がついてしまったため、表面を研磨。

大型のフライス盤であればフェイスミルなどで表面をきれいにしたいのだが、卓上フライス盤と手持ちのスローアウェイフライカッターだと直径30Φなので一回で全体を削ることができず、2度、3度に分けると段差ができてしまうため、表面を研磨することにした。

荒い研磨ディスクを使用した後、細かい研磨ディスクを使用したが研磨傷が消せなかった。その為、ホームセンターで仕上げ用のフェルトのディスクを購入し研磨したが、フェルトだと全く削れず傷が消しきれなかった。ちょっと荒いのだと手持ちのもの変わらないだが・・・、良い荒さの物ってあるのか?使ってれば削れなくなってちょうど良くなるのか?
完成したのがこれ。反対側は設計図を反転させて作成。
あとは、7075材なので腐食してしまうので、アルマイト加工(メッキ加工)を行う。

アルマイト加工・メッキ加工

アルミの2017材や7075材は、腐食を防ぐため、通常はアルマイト加工(黒や青、赤など)を行う。

個人的にアルマイト加工は徐々に薄くなってしまい、腐食するため好きではない。ブレンボ用のキャリパーサポート(「型取り」に画像有り)もアルマイト加工されているが、腐食が始まっている。
どうしようかなぁとアルミ加工のプロに相談したところメッキ加工もできるとのこと。
メッキ加工したものと見せてもらうと、ゴールドっぽい感じがなかなか良い。メッキ加工で頼んでみた。

7075材はメッキのノリが悪いらしく、加工費は高いらしい。費用は左右合わせて約6000円。
アルマイト加工なら4000円しないと思う。

写真の素人が撮るとうまく綺麗さが伝わらないが、ゴールドっぽいメッキ。
実物は写真よりきれいだと思う。

キャリパーサポートの取り付け

細目の10mmボルトでキャリバーサポートを固定、8mmのボルトでキャリバーを固定。

10mmボルトはローターとのクリアランスが少ないため、当たらないようにサンダーで削って長さを調整。キャリパーの厚みが10mmしかないのでぎりぎりの長さに!

キャリパーサポートを作成して・・・

個人で作ったと考えるとまずまずの出来では・・・。

かかった費用は、アルミ代が約10,000円(必要分)、メッキ加工代が約6,000円、細目のボルトが500円ちょっと、合計約16,500円。(フライス盤のギア故障でギア代が約6,000円×2回故障で12,000円、試作アルミ代が別途)
これに手間代がかかると思うと、売ってるやつってすごい安いなぁ。まあ、型が既にあり、NCで自動で作るのでしょうけど。

注意点としては、
・一個目は安いアルミで試作。
・各所の厚み、ボルト位置は試作品で調整。
・フライス盤だけでも何とかなるが、手間を考えるとバンドソーは必須。
・フライス盤で使用するエンドミルも、すぐ痛む付属品ではなく、よく切れる物を別途用意しておくこと。
・サイドの切削は慎重に!(負荷かけすぎるとフライス盤が壊れます)
って感じですかね。

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