FCRのセッティング方法
メインジェット
スロージェット
ジェットニードル(針)
エアースクリュー
のセッティングの他に
パイロットスクリュー
メインエアージェット
スローエアージェット
加速ポンプタイミング(+総量)
のセッティングがある。
パイロットスクリューはIDLE時のセッティングなのだが、スロージェットとエアースクリューで調整するため、基本的にはそのままで問題ない。スロージェットとエアースクリューをいくら調整してもアイドリングしない場合のみ設定を変更する。ただし、ハマる原因になる。
メインエアージェット、スローエアージェットに関しても、メイン・スロージェットやエアースクリューで調整するため、そのままで問題ない。
加速ポンプはタイミング(+総量)しかセッティングできない。これがこのキャブの・・・。
セッティングの基本的なことは「キャブのセッティング(ケイヒン系)」に記載しているので参考に。
なお、以下の画像はFCR28φ単発のもの。4連の場合、ジェットやニードルは4つづつ必要になり、セッティング(ジェット交換やエアスクリューの調整)は全てのキャブで同時に行う。
スロージェットの変更方法
スロージェットはフロートチャンバー(ガソリンが溜まっている部分)を外さないと変更できない。
そのため、ガソリンコックをOFFにし、ガソリンの受け皿を用意しておく。
※加速ポンプのボルトもあるので間違えないように。
ゴムのパッキンが無くならないように注意。
また、ボルトはなるべく同じ場所に入れるられるようにしておく。
マイナスドライバーを差し込み、反時計回しでスロージェットを外す。
丸い面に番手が記載されている。
製品として、ケイヒン純正品やキタコ製がある。
取り付けは外し方の逆だからわかるよね。
メインジェットの変更方法
スローと同じようにフロートチャンバーを外しても良いが、下のキャップだけ外しても交換ができる。
キャブ内のガソリンが全て出るため、ガソリンコックをOFFにし、ガソリンの受け皿を用意しておく。
メインジェットの受け側(メインノズル(7mm))ごと抜けてしまうことがあるので、その場合はフロートチャンバーを開けて、締め直す。
側面に番手が記載されている。
製品として、ケイヒン純正品やキタコ製、デイトナ製がある。
取り付けは外し方の逆だからわかるよね。
ジェットニードル(針)の設定・変更方法
ジェットニードル(針)はクリップの位置でセッティングを変更できる。
セッティングがうまくいかない場合は、針自体を交換する。
ジェットニードル(針)を取り出すには、ガソリンを抜く必要はなく、上部に隙間があれば、キャブを外す必要もない。
キャップボルトはどちらに入っていたか覚えておく。
ボールジョイントではトルクが心配な場合は、スロットルを開け、スロットルバルブが上に来るようにして作業する。
ただし、加速ポンプが働くため、エンジン内にガソリンが注ぎ込まれるので注意。
クリップが飛んで行かないように注意。
なお、新しいジェットニードル(針)を購入した場合、クリップは付いておらず、別売り。
ジェットニードル自体の情報については、「CD50(88cc)でのFCRセッティング」に記載。
エアースクリューの調整方法
横からマイナスドライバーを挿し入れ、回転させる。
ガソリンの噴き返しで、すぐにどろどろになる。
きれいにしたい場合は、パーツクリーナーより強力なキャブクリーナーを噴きかけて溶かし、パーツクリーナーで流し落とす。
加速ポンプの調整方法(FCR特有)
ここを広げると、加速ポンプを押すロッドの初期位置が上がり、加速ポンプが効きだすタイミングが遅くなる。ロッドが最後まで押し切らなくなるため、ガソリンの吐出総量が減る。
総量が調整できるだけで、出る勢い(流量)を減らす設定は無い。
タイミングを早くする(総量が増える)場合、ペンチを使って幅を狭める。
隙間は0mmで0.9cc、初期0.6mmで0.75cc、最大1.2mmで0.6cc。
何度も変更すると金属疲労で折れるので注意が必要。
FCRの加速ポンプについて
加速ポンプはアクセルを開けた(スロットルバルブが開いた)瞬間にガソリンが薄くなるのを補うために強制的にガソリンを吐出している。
これにより、コーナーからの立ち上がりなど、アクセルを開けた瞬間の加速性がよくなる。
ただし、FCRの加速ポンプは調整がタイミング(ガソリンの吐出総量も変化)しかなく、出る勢い(流量)などの調整はできない。(ミクニのTMRは加速ポンプノズルが交換できるようだ)
この加速ポンプは、4連キャブであっても単キャブであっても1つで、排気量に関係なくガソリンの吐出量は変わらない。
セッティングマニュアル上では0.6cc~0.9cc出るとのこと。
ここで問題になるのは、
①単キャブでも4連キャブでも同じ量のガソリンが出る。
②吐出量が変更できない。
【問題①について】
4連キャブはそれぞれのキャブにガソリンが分配されるが、単キャブは1つのキャブから出る。そうすると、吐出量は変わらないので全開にした場合、4倍長い時間吐出している。
例えば、1000ccの4気筒と250ccの単気筒のバイクがあったとして共にFCRを装着すると、1キャブあたり共に250ccであり、瞬間的な吐出量は変わらないが、吐出時間は250cc単気筒の方が4倍長くなる。
吐出時間が長いことにより、カブってしまう。
→これは、下記の対策品で吐出総量を変えてやれば対応可能かも。
【問題②について】
吐出量の調整が出来ないため、そもそも吸い込んでいるガソリン量が少ない小排気量では、加速ポンプからガソリンが吐出した瞬間に濃すぎてカブってしまう。
→吐出総量を変えてやり、かつ、瞬間的に吐出する流量を減らしてやる必要がある。
どうにもならない場合は、加速ポンプを潰す(利かないようにする)。
加速ポンプの調整パーツ
①加速ポンプの下部を「FCR加速ポンプ調整キット」に変更
ネジでダイヤフラムの稼働域を可変調整。23760円もする。
②加速ポンプの下部に「FCR加速ポンプ吐出量調整カラー」を入れる
ダイヤフラムの稼働域をカラーで調整(固定)。4個セットで4200円。
③純正キャブの加速ポンプのダイヤフラムの交換
ダイヤフラムの底が当たる部分に突起があり、稼働域が狭くなる。
④加速ポンプのロッドにカラーを固定
一定以上ロッドが下がらないようにし、ダイヤフラムの稼働域を調整。
総量が変わるだけなので、吐出時間が短縮されるが、吐出中の流量は変わらない。
また、加速ポンプはアクセルの開度により働くが、これらを使用するとアクセル開度が高い(全開に近い)部分で開け直した時に加速ポンプが働かなくなってしまうという欠点がある。
加速ポンプを潰す方法
一番簡単な方法として、加速ポンプのダイヤフラムを押しているロッドを抜く。
ロッドの可動にはスプリングが使われているため、ロッドがどこかに引っ掛かって動かなくなってもキャブの動作に問題はない。
短期間(セッティング中など)外す場合に良いが、長期間外すならロッドを押しているプラパーツごと外した方が良いだろう。
加速ポンプ下のカバーを外し、アルミ板に変更する。
本体側のOリングは、ガソリンが落ちてくる部分のため、漏れないように付けたままにする。
ダイヤフラムはあっても問題ないが不要。スプリングは入れないこと。
ロッドは入れたままで良い。
画像は、アルミ2017材を適当なサイズに切り、ネジ穴だけ開けて装着した。
(アルミとしてもらったものにステンレスが混入していて、アルミではなくステンレス版であることに気付く)
スロットルと加速ポンプのレバーの間の金具を外す。
小さい割りピンが入っているので外しにくい。
ロッドやダイヤフラムは入れたままで良い。
やってはいけない方法として、
①ダイヤフラムを外す
→ダイヤフラムはパッキンの役目をしているため、ガソリンが漏れる可能性がある。
②ダイヤフラムの下のスプリングを外す。
→スプリングを外すとダイヤフラムの戻りが悪くなり、吐出するガソリン量は減るが、安定しない。
小排気量単発での加速ポンプの調整
CD50に中華エンジン125cc5速を載せていた時にFCRを装着していた。ガボつきはあるが、何とか走れた。
中華エンジンから88ボアアップ純正エンジンに載せ替えたので、FCRの再セッティングしてみた。
悪戦苦闘した結果を「CD50(88cc)でのFCRセッティング」に記載。
ジェットニードルの情報なども記載。